ExpressRoute 経由の BFD の構成
ExpressRoute は、プライベート ピアリングと Microsoft ピアリングの両方で BFD (Bidirectional Forwarding Detection) をサポートしています。 ExpressRoute 経由で BFD を有効にすると、Microsoft Enterprise edge (MSEE) デバイスと、ExpressRoute 回線が構成されているルーター (CE/PE) との間のリンク障害の検出速度が向上します。 ご使用のエッジ ルーティング デバイスまたはパートナーのエッジ ルーティング デバイス経由で ExpressRoute を構成できます (マネージド レイヤー 3 接続サービスを選択した場合)。 このドキュメントでは、BFD の必要性と、ExpressRoute 経由の BFD を有効にする方法について説明します。
BFD の必要性
次の図は、ExpressRoute 回線経由の BFD を有効にする利点を示しています。
ExpressRoute 回線は、レイヤー 2 接続またはマネージド レイヤー 3 接続のいずれかで有効にできます。 どちらの場合も、ExpressRoute 接続パスに複数のレイヤー 2 デバイスが存在するときは、上にある BGP セッションに、パスのリンク障害を検出する責任があります。
MSEE デバイスでは、通常、BGP のキープアライブとホールド時間はそれぞれ 60 秒と 180 秒に設定されています。 このため、リンクの障害が発生した場合、リンク障害を検出し、トラフィックが別の接続に切り替わるまで最大で 3 分かかる場合があります。
BGP タイマーを制御するには、エッジ ピアリング デバイスで BGP のキープアライブとホールド時間を低く設定します。 BGP タイマーが 2 つのピアリング デバイス間で異なる場合、BGP セッションは短い方の時間値を使って確立されます。 設定できる BGP キープアライブの最短時間は 3 秒で、ホールド時間は 10 秒です。 ただし、このプロトコルではプロセスが大量に消費されるため、BGP タイマーを短時間に設定することはお勧めできません。
このシナリオでは、BFD が役立ちます。 BFD では、1 秒未満の時間間隔で低オーバーヘッドのリンク障害検出が可能です。
注意
BFD は、リンクエラーが検出された場合に高速フェールオーバー時間を提供しますが、ExpressRoute 仮想ネットワークゲートウェイと MSEEs 間のフェールオーバーについて、全体的な接続収束に最大で1分かかります。
BFD の有効化
MSEE では、新しく作成されたすべての ExpressRoute プライベート ピアリングと Microsoft ピアリングのインターフェイスで、BFD が既定で構成されています。 そのため、BFD を有効にするには、プライマリおよびセカンダリ デバイスの両方で BFD を構成するだけで済みます。 BFD は 2 段階のプロセスで構成します。 インターフェイス上で BFD を構成し、次に、それを BGP セッションにリンクします。
Note
BFD がサポートされているのは IPv4 ピアリングにおいてだけです。
CE/PE (Cisco IOS XE を使用) の構成の例を次に示します。
interface TenGigabitEthernet2/0/0.150
description private peering to Azure
encapsulation dot1Q 15 second-dot1q 150
ip vrf forwarding 15
ip address 192.168.15.17 255.255.255.252
bfd interval 300 min_rx 300 multiplier 3
router bgp 65020
address-family ipv4 vrf 15
network 10.1.15.0 mask 255.255.255.128
neighbor 192.168.15.18 remote-as 12076
neighbor 192.168.15.18 fall-over bfd
neighbor 192.168.15.18 activate
neighbor 192.168.15.18 soft-reconfiguration inbound
exit-address-family
Note
既にある既存のプライベート ピアリングまたは Microsoft ピアリングで BFD を有効にするには、そのピアリングをリセットする必要があります。 これは、2018 年 8 月より前のプライベート ピアリングおよび 2020 年 1 月より前の Microsoft ピアリングで構成された回線で行う必要があります。 「ExpressRoute ピアリングをリセットする」を参照してください。 プライマリ デバイスとセカンダリ デバイスでの BFD の構成は任意ですが、新しいピアリング用の Azure デバイスでの BFD 構成は省略可能ではなく、削除することはできません。
BFD タイマー ネゴシエーション
BFD ピア間では、2 つのピアのうち遅い方のピアによって送信レートが決まります。 MSEE の BFD 送信/受信間隔は、300 ミリ秒に設定されています。 特定のシナリオでは、間隔に 750 ミリ秒という大きな値を設定できます。 大きな値を設定することで、これらの間隔を強制的に長くすることはできますが、短くすることはできません。
Note
geo 冗長 ExpressRoute 回線を構成しているか、またはサイト間 IPsec VPN 接続をバックアップとして使用している場合、 BFD を有効にすると、ExpressRoute 接続障害の後のフェールオーバーがより迅速になります。
次の手順
詳細やヘルプについては、次のリンク先を確認してください。