XamlWriter.Save のシリアル化の制限
API Save を使用し、Windows Presentation Foundation (WPF) アプリケーションの内容を Extensible Application Markup Language (XAML) ファイルとしてシリアル化できます。 ただし、何がシリアル化されるかについては、いくつかの重要な制限事項があります。 このトピックでは、これらの制限事項と、いくつかの一般的な考慮事項について説明します。
実行時の表現 (デザイン時ではなく)
Save の呼び出しによって何がシリアル化されるのかについて、基本的に言えることは、結果として得られるのが、実行時にシリアル化されるオブジェクトの表現であるということです。 元の XAML ファイルのデザイン時プロパティの多くは、XAML がメモリ内オブジェクトとして読み込まれる時に既に最適化されているか、または失われている可能性があるため、Save を呼び出してシリアル化する際には保持されません。 シリアル化された結果は、アプリケーションの構築済みの論理ツリーを効果的に表現したものですが、それを生成した元の XAML であるとは限りません。 これらの問題があるため、Save によるシリアル化を XAML の広範なデザイン サーフェイスの一部として使用することは非常に困難となっています。
シリアル化は自己完結型
Save のシリアル化出力は自己完結型です。シリアル化されるすべてのものは、1 つのルート要素を持つ単一の XAML ページに含まれ、URI 以外の外部参照は含まれません。 たとえば、アプリケーション リソースからリソースを参照しているページの場合、それらのリソースは、シリアル化されたページのコンポーネントであるかのように表示されます。
拡張機能の参照は逆参照される
さまざまなマークアップ拡張形式によって行われるオブジェクトへの一般的な参照 (StaticResource
や Binding
など) は、シリアル化プロセスによって逆参照されます。 これらは、メモリ内オブジェクトがアプリケーション ランタイムによって作成された時点で既に逆参照されており、Save ロジックでは、元の XAML を再参照して、それらの参照をシリアル化出力に復元することはしません。 そのため、データバインドされた値やリソースで取得される値は、実行時の表現で最後に使用された値になる可能性があります。したがって、それらの値をローカルで設定されたその他の値と区別することは、部分的または間接的にしかできなくなります。 また、イメージは、元のソースの参照としてではなく、プロジェクト内に存在するイメージへのオブジェクト参照としてシリアル化されるため、当初参照されたファイル名や URI は失われます。 同じページ内で宣言されたリソースであっても、リソース コレクションのキーとして保存されるのではなく、それらが参照されたポイントへとシリアル化されます。
イベント処理は保持されない
XAML によって追加されたイベント ハンドラーがシリアル化された場合、それらは保持されません。 分離コードを使用しない (関連する x:Code 機構もない) XAML では、ランタイムのプロシージャ ロジックをシリアル化することができません。 シリアル化は自己完結型であり、論理ツリーに限定されているため、イベント ハンドラーを格納する機能はありません。 そのため、イベント ハンドラー属性は、属性自体も、またハンドラーに名前を付ける文字列値も、出力後の XAML からは削除されます。
XAMLWriter.Save の現実的な利用シナリオ
以上のように、Save を使ったシリアル化にはかなりの制限事項が伴いますが、これを使用する適切なシナリオもいくつか存在します。
ベクターまたはグラフィカル出力:レンダリングされた領域の出力を使用して、再読み込み時に同じベクターやグラフィックスを再現できます。
リッチ テキストおよびフロー ドキュメント:テキストと、その中の要素書式設定や要素含有はすべて、出力内に保持されます。 これは、クリップボードのような機能を提供するのに役立ちます。
ビジネス オブジェクト データの保持: カスタム要素に格納されているデータ (XML データなど) がある場合、ビジネス オブジェクトが、基本的な XAML ルール (カスタム コンストラクターの提供や、参照渡しのプロパティ値に対応した変換など) に従っていれば、それらのビジネス オブジェクトをシリアル化によって永続化できます。
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