ダイアログ ボックスのアーカイブと削除
このセクションでは、Windows Server AppFabric で監視ストア (既定の名前は ApplicationServerMonitoring) のアーカイブを作成して削除する方法、または永続化ストア (既定の名前は ApplicationServerPersistence) の削除だけを行う方法について説明します。監視ストアや永続化ストアのサイズが大きくなれば、蓄積できるデータも増えます。優れたパフォーマンスを維持するには、一定の基準を設けて AppFabric の監視ストアから古い監視データをアーカイブ化したり、古いインスタンスを永続化データから削除することができます。
AppFabric では、このタスク用に設計された AppFabric 付属の Windows PowerShell コマンドレットを使用することによって、ストアのアーカイブまたは削除のみを行うことができます。データのアーカイブは監視ストアでのみ利用できます。監視データはそれ自体が履歴のようなものであり、AppFabric ダッシュボードの [WCF 呼び出しの履歴] セクション/[追跡対象イベント] ページ、および [WF インスタンスの履歴] セクション/[追跡対象 WF インスタンス] ページには監視メトリックの履歴が表示されるため、監視データをアーカイブ化することには意味があります。ただし、[永続的な WF インスタンス] セクション/[永続的な WF インスタンス] ページに表示されるメトリックは、現在保持されているワークフロー インスタンスに関するリアルタイムのライブ データです。永続化ワークフロー インスタンスの情報をアーカイブ化して、これらのワークフロー インスタンスの完了後、存在しなくなった時点で表示しても、役立つ情報は得られません。このため、アーカイブ関連のコマンドレットはすべて監視ストアにのみ適用されます。削除用のコマンドレットは、監視ストアと永続化ストアの両方に適用されます。AppFabric の自動データ ストア削除機能は、監視ストアとして Microsoft SQL Server を使用するよう構成された AppFabric のインストールでのみ使用できます。AppFabric のデータベースのうち、自動削除機能を持つのは監視ストアだけです。この機能を永続化ストアに使用するよう構成することはできません。
データベースの削除とアーカイブを行うコマンドレット
次の Windows PowerShell 用 AppFabric コマンドレットを使用することで、AppFabric のストアの削除やアーカイブに関連するさまざまなタスクを実行できます。
コマンドレット | 説明 |
---|---|
Clear-ASMonitoringSqlDatabase |
監視データベースからデータを削除します。任意で、削除するデータをアーカイブ データベースに送信することができます。 |
Set-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration |
監視データベースをアーカイブ先データベースに関連付けます。アーカイブ先データベースは、既に存在する、初期化済みの監視データベースである必要があります。 |
Get-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration |
指定した監視データベースから、アーカイブ構成 (アーカイブ先データベースを識別する接続文字列) があれば取得します。 |
Remove-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration |
監視データベースのアーカイブ データベースに関する構成情報を削除します。これは、Set-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration によってアーカイブ構成があらかじめ構成されていることを前提としています。 |
Remove-ASAppServiceInstance |
永続化ストアから「古い」インスタンス データを削除します。削除するインスタンス データに対するアーカイブ オプションはありません。 |
次のセクションでは、これらの各コマンドレットについて詳しく説明し、例を挙げてコマンドレットの使い方を示します。
監視ストア構成の設定、取得、および削除
Set-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration を実行すると、特定の監視データベースにアーカイブ先データベースを関連付けるよう構成できます。アーカイブ先データベースは、既に存在する、初期化済みの監視データベースである必要があります。このコマンドレットを実行することで、プライマリ データベースとアーカイブ データベースの両方に監視データベースの項目を含めることができ、両方のバージョンが確実に一致します。
Get-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration を実行すると、監視データベースからアーカイブ データベース構成を取得できます。
Remove-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration を実行すると、監視データベースのアーカイブ データベースに関する構成情報を削除できます。
Set-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration
構文 1:
Set-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration -ArchiveDatabase <String> -Database <String> [-Confirm] [-LinkedArchiveServer <String>] [-Server <String>] [-WhatIf] [<CommonParameters>]
構文 2:
Set-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration -ArchiveDatabase <String> -ConnectionString <String> [-Confirm] [-LinkedArchiveServer <String>] [-WhatIf] [<CommonParameters>]
パラメーター | 説明 |
---|---|
ArchiveDatabase |
アーカイブ先データベースの名前。 |
Database |
アーカイブを構成するプライマリ データベースの名前。ConnectionString が指定されている場合にのみ省略可能です。 |
ConnectionString |
プライマリ監視データベースの接続文字列。 |
LinkedArchiveServer |
アーカイブ先データベースをホストする SQL Server の名前。 |
Server |
プライマリ監視データベースをホストする SQL Server の名前。 |
WhatIf |
データベースに接続しますが実際にはアーカイブを構成しません。省略可能です。 |
例
次の例では、プライマリ監視データベース ApplicationServerMonitoring のアーカイブ構成を設定します。アーカイブ先データベースは ArchiveMonitoringDatabase です。アーカイブ構成を設定する前に、操作を確認するメッセージが表示されます。
Set-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration –ArchiveDatabase ArchiveMonitoringDatabase –Database ApplicationServerMonitoring
Get-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration
構文 1:
Get-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration -Database <String> [-Server <String>] [<CommonParameters>]
構文 2:
Get-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration -ConnectionString <String> [<CommonParameters>]
パラメーター | 説明 |
---|---|
Database |
取得するアーカイブ構成を持つプライマリ データベースの名前。接続文字列が指定されている場合にのみ省略可能です。 |
Server |
プライマリ監視データベースをホストする SQL Server の名前。省略可能です。このオプションが設定されない場合、既定値はローカル コンピューターです。 |
ConnectionString |
プライマリ監視データベースへの接続文字列。Database パラメーターが指定されていて、Server パラメーターが指定されているか既定値がローカル コンピューターである場合にのみ省略可能です。 |
Remove-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration
構文 1:
Remove-MonitoringDatabaseArchiveConfiguration [-Database <String>] [–Server <String>] [-Confirm <Switch>][-ConnectionString<String>]
パラメーター | 説明 |
---|---|
Database |
取得するアーカイブ構成を持つプライマリ データベースの名前。接続文字列が指定されている場合にのみ省略可能です。 |
Server |
プライマリ監視データベースをホストする SQL Server の名前。省略可能です。このオプションが設定されない場合、既定値はローカル コンピューターです。 |
Confirm |
指定すると、リンクの削除を確認するメッセージが表示されます。 |
ConnectionString |
プライマリ監視データベースへの接続文字列。Database パラメーターが指定されていて、Server パラメーターが指定されているか既定値がローカル コンピューターである場合にのみ省略可能です。 |
例
次の例では、プライマリ監視データベース ApplicationServerMonitoring のアーカイブ構成を削除します。
Remove-MonitoringDatabaseArchiveConfiguration –Database “ApplicationServerMonitoring”
監視データベースの削除およびアーカイブ
監視データベースからデータを削除するには、Clear-ASMonitoringSqlDatabase コマンドレットを使用します。必要に応じて、削除したデータをリモートのアーカイブ先監視データベースに転送できます。
Clear-ASMonitoringSqlDatabase
構文 1:
Clear-ASMonitoringSqlDatabase -Database <String> [-Archive] [-CutoffTime <DateTime>] [-MaxAge <TimeSpan>] [-PurgeMode {<EventAgeMode | None | WFInstanceCompletedMode}] [-Server <String>] [<CommonParameters> [-WhatIf]]
構文 2:
Clear-ASMonitoringSqlDatabase -ConnectionString <String> [-Archive] [-CutoffTime <DateTime>] [-MaxAge <TimeSpan>] [-PurgeMode {<EventAgeMode | None | WFInstanceCompletedMode>}] [-WhatIf] [<CommonParameters>]
パラメーター | 説明 |
---|---|
Database |
削除するデータベースの名前。ConnectionString が指定されている場合にのみ省略可能です。 |
ConnectionString |
削除するデータベースへの接続文字列。Database および Server が指定されている場合にのみ省略可能です。 |
Archive |
削除するデータを、構成済みの (Set-ASMonitoringSqlDatabaseArchiveConfiguration を使用) アーカイブ データベースに先にアーカイブ化します。省略可能です。 |
CutoffTime |
カットオフ時刻前に生成されたデータベースのすべてのイベントが削除されます。WFInstanceCompletedMode では、アクティブなインスタンスに関連する WF イベントは保存されます。このパラメーターは省略可能であり、指定されない場合、現在の時刻と MaxAge パラメーターから値が計算されます。 |
MaxAge |
イベントが時間ベースの削除の対象になるまでに監視データベースにある時間。このパラメーターは省略可能で、既定値は 0 です。 |
PurgeMode |
削除方法を指定します。2 つのオプションがあります。
|
Server |
削除するデータベースをホストしているサーバーの名前。省略可能です。指定されない場合の既定値は、ローカル サーバーです。 |
例
完了したインスタンスに関連するイベントをアーカイブして削除する方法を示す簡単な例を次に示します。この例では、ローカル サーバーにある ContosoDatabase 監視データベースが削除されます。
Clear-ASMonitoringSqlDatabase –Database “ContosoDatabase” –PurgeMode “WFInstanceCompletedMode” –Archive
永続化ストアからの古いインスタンスの削除
Web ファームにあるすべてのコンピューターからサービスのインスタンスが削除されても、永続化ストアには残っていることがあり、永続化ストアのクエリでのノイズとなって現れます。コンピューターをネットワークから削除した場合、削除されたコンピューターにリンクする永続的インスタンスは、古いインスタンスとして永続化ストアに残ります。Remove-ASAppServiceInstance コマンドレットを実行すると、そのような古いインスタンスをクリーンアップできます。
Remove-ASAppServiceInstance
構文 1:
Remove-ASAppServiceInstance -Database <String> -InstanceId <Guid> [-Confirm] [-Force] [-Server <String>] [-WhatIf] [<CommonParameters>]
構文 2:
Remove-ASAppServiceInstance -ConnectionString <String> [-Confirm] [-Force] [-WhatIf] [<CommonParameters>]
構文 3:
Remove-ASAppServiceInstance -ServiceInstanceInfo <InstanceInfo> [-Confirm] [-Force] [-WhatIf] [<CommonParameters>]
パラメーター | 説明 |
---|---|
Database |
削除する永続化ストアの名前。ConnectionString が指定されない場合は必須です。 |
InstanceId |
GUID 形式のサービス インスタンス ID。 |
Confirm |
サービス インスタンスを削除する前に、操作を確認するメッセージが表示されます。Force と同時には使用しません。 |
Force |
ユーザーによる確認なしに操作を実行します。Confirm と同時には使用しません。 |
Server |
Database をホストする SQL Server の名前。省略可能で、既定値はローカル サーバーです。 |
WhatIf |
ストアに接続しますが、実際にはサービス インスタンス データを削除しません。 |
ConnectionString |
削除する永続化ストアへの接続文字列。省略可能で、Database および Server の代わりに使用できます。 |
ServiceInstanceInfo |
関連項目
概念
2011-12-05