レコードと電子情報開示の管理
最終更新日: 2011年4月18日
適用対象: SharePoint Server 2010
Microsoft SharePoint Server 2010 では、レコードの管理を目的として設計された機能が提供されます。レコードとは、ビジネスまたは組織にとって重要であり、ビジネス プロセスによって管理されるあらゆるドキュメントです。SharePoint Server 2010 では、レコード管理と電子情報開示機能が、以下の新しい機能によって拡張されています。
複数ステージ ポリシーの向上
幅広くアクセスできる電子情報開示
レコード センター テンプレート
あらゆるサイトで有効にできるレコード センターのコンポーネント機能
場所に基づいた有効期限スケジュール
法令遵守の基礎
SharePoint Server 2010 の法令遵守は、ビジネス リスクを軽減するルールの適用に関連します。リスクはさまざまな形式で現れる可能性があります。たとえば、法的リスク、情報開示リスク、費用超過リスク、政府規制リスクなどです。通常、経営陣は、レコード管理者、法令遵守責任者、および弁護士を雇って、リスク監視を確立して制定します。SharePoint Server 2010 でサポートされるユーザー ロールを識別するため、リスクを管理する個人をレコード管理者という用語で説明します。
コンテンツ管理内の法令遵守には 4 つの主なシナリオがあります。SharePoint Server 2010 で既定で使用可能な機能は、表 1 に記載されたシナリオをサポートするように設計されています。
表 1. 4 つの法令遵守シナリオ
シナリオ |
説明 |
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レコードの識別と管理 |
このシナリオでは、レコード管理者が重要なビジネス ドキュメント (レコード) を識別して、それにビジネス プロセスを接続します。たとえば、ビジネス ドキュメントがレコードとして識別されると、ユーザーはそのビジネス ドキュメントの編集や削除ができなくなる場合があります。 |
電子情報開示と保持 |
電子情報開示 (電子的検出) では、レコード管理者は、訴訟に関するコンテンツを探してロックします。たとえば、電子情報開示という単語の使用法に関して会社が訴えられた場合、レコード管理者は "電子情報開示" または "電子的検出" という単語を含むすべてのコンテンツを探して処理する必要があります。 |
監査 |
監査時に、レコード管理者はコンテンツに対して特定のアクションを実行したユーザーを追跡します。監査のシナリオは、科学捜査の結果として生じることがよくあり、コンテンツに対するアクションが実行された後に生じます。 |
保持と有効期限 |
保持ポリシーと有効期限ポリシーは、電子情報開示のコストを削減するために存在します。組織は、これらのポリシーに従って、コンテンツを特定の期間保持し、有効期限に達したときに削除します。保持には、スケジュール イベントおよび削除イベントのような、コンテンツのライフサイクル内での重要なタスクが含まれます。 |
これらの各シナリオをサポートするために、SharePoint Server 2010 と Microsoft Office 2010 の全体にわたる機能は、法令遵守をサポートするように設計されています。たとえば、ドキュメント コンテンツ タイプは、情報ポリシーを使用して管理できる一種のオブジェクトです。Office 2010 クライアント アプリケーション (新しいドキュメント セット機能を含む) を使用して作成されるすべての種類のドキュメントが、法令遵守とレコード管理をサポートします。
レコード管理プログラミング モデル
レコード管理には、カスタムのレコード管理ソリューションを作成するために使用できるサーバー側 API と Web サービスが含まれます。表 2 と表 3 に、カスタムのレコード管理アプリケーションを記述するために最も一般的に使用される名前空間と型を示します。
表 2. 重要なレコード管理名前空間と説明
名前空間 |
説明 |
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保持アクションと動作を定義するメソッドとプロパティが含まれます。 |
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1 つ以上のアイテムの情報ポリシーを定義するメソッドとプロパティが含まれます。これには、ポリシーとポリシー コレクションを定義し、ポリシーの機能とリソースをコレクションに分類する型が含まれます。 |
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[MS-OFFICIALFILE] プロキシの動作を定義および管理するために使用するメソッドとプロパティが含まれます。この名前空間内の型は、通常、サードパーティ製のアプリケーション内のデータを SharePoint レコード管理システムに接続するために使用されます。 |
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情報ポリシーの機能を定義するメソッドとプロパティが含まれます。たとえば、この名前空間内の型を使用して、バーコード、ラベル、監査、および有効期限の作成と管理ができます。 |
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コンテンツ オーガナイザーの動作を定義するメソッドとプロパティが含まれます。 |
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レコード管理用のレポート オブジェクトを表す型が含まれます。 |
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電子情報開示用の検索および処理の動作を定義するインターフェイスと型が含まれます。 |
表 3. レコード管理の型と説明
型 |
説明 |
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保持検索の検索結果を返します。 |
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保持を処理するためにクラスで実装する必要のあるインターフェイスを指定します。 |
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EcmDocumentRouter オブジェクトで自動フォルダーに適用する設定を表します。 |
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EcmDocumentRouter オブジェクトが返す結果の型を指定します。 |
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ドキュメントをドキュメント センターまたはレコード センターにルーティングするオブジェクトを表します。 |
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EcmDocumentRouter オブジェクトの動作を定義するルールを表します。 |
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EcmDocumentRouter オブジェクトでルーティングできる範囲を表します。 |
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カスタム ルーターがドキュメント オブジェクトを、指定された範囲内のサイト コレクションにルーティングできるようにするインターフェイスを提供します。 |
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レコードとするアイテムを宣言します。 |
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レコードとして宣言されたアイテムからレコード指定を削除します。 |
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指定されたレコードに対して実行された操作の結果を表します。 |
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指定されたレコードに設定された制限を表します。 |
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監査ログ内の詳細が含まれるコールアウトを表します。 |
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レポート データを転送するインターフェイスを提供します。 |
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レポートを生成するオブジェクトに対するインターフェイスを提供します。 |
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ターゲットの SPListItem アイテムに対する完全な検索および処理を表します。 |
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検索列挙子を表します。プロパティ IsNull は、既定で true に設定されます。 |
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検索クエリが実行されるときに検索プロバイダーに渡されるパラメーターを表します。 |
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検索プロバイダーを表します。SPWeb から検索ページの URL を取得するためのメソッドと、検索を実行するメソッドが含まれます。 |
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実行する検索および処理操作を表し、操作を初期化するメソッドを含みます。検索および処理操作では、SharePoint Server 2010 を使用して検索クエリを実行し、クエリによって返された各リスト アイテムに対して特定のユーザー設定のアクションを実行できます。たとえば、特定のドキュメント メタデータに基づいて特定の一連のドキュメントを識別し、それらのドキュメントをレコード リポジトリに移動できます。指定するアセンブリには、IProcess インターフェイスを実装する必要があります。Add(SPWeb, DateTime, Guid, Int32, Boolean, Guid, Guid, Int32) メソッドを使用して、検索および処理操作を SharePoint Server 2010 のマスター タイマー ジョブに追加します。 |
関連項目
タスク
[方法] ポスト アクションとバイパス ロックでアクションを期限切れにする