Exchange プロトコルの負荷分散の要件
適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3
トピックの最終更新日: 2011-11-02
Microsoft Exchange プロトコルとクライアント アクセス サービスには、さまざまな負荷分散の要件があります。一部の Microsoft Exchange プロトコルとクライアント アクセス サービスでは、クライアントとクライアント アクセス サーバー間にアフィニティを必要とします。これら以外のプロトコルとクライアント アクセス サービスはアフィニティがなくても動作しますが、このようなアフィニティがあるとパフォーマンスが向上します。これら以外の Exchange プロトコルでは、クライアントとクライアント アクセスサーバー間にアフィニティは必要ではなく、アフィニティがなくてもパフォーマンスが低下することはありません。
目次
クライアントとクライアント アクセス サーバー間にアフィニティが必要となる Exchange プロトコル
クライアントとクライアント アクセス サーバー間のアフィニティから利点を得る Exchange プロトコル
アフィニティを必要としない Exchange プロトコル
IP ポートについて
クライアントとクライアント アクセス サーバー間にアフィニティが必要となる Exchange プロトコル
次の Exchange プロトコルには、クライアントとクライアント アクセス サーバー間のアフィニティが必要になります。アフィニティは、クライアント セッション中、維持する必要があります。
Outlook Web App および Exchange コントロール パネル Microsoft Office Outlook Web App と Exchange コントロール パネルはどちらも、クライアントとクライアント アクセス サーバー間のアフィニティを必要とします。Microsoft Exchange Server 2010 では既定の設定であるフォームベース認証を使用する場合、Outlook Web App と Exchange コントロール パネルのどちらにも同じクライアント アクセス サーバーに対してアフィニティを確立する必要があります。これは、Outlook Web App および Exchange コントロール パネルが同じ認証クッキーを共有し、このクッキーは 1 台の特定のクライアント アクセス サーバーによってのみ解読可能であるためです。
Exchange Web サービス アフィニティが必要なのは、Exchange Web サービスのサブセットのみです。可用性サービス要求にはアフィニティは必要ありませんが、サブスクリプションにはアフィニティが必要です。Exchange Web サービスのすべての側面で、アフィニティによってパフォーマンスが向上します。アフィニティを設定しなければ Exchange Web サービスを使用できません。
イントラネット上の Outlook RPC over TCP イントラネット上の Outlook クライアントは、すべての RPC 接続は同じサーバーに対して確立されると想定しています。 Outlook はユーザーごとに複数のセッションを使用し、すべてのセッションが同じサーバーに接続されると想定しています。
クライアントとクライアント アクセス サーバー間のアフィニティから利点を得る Exchange プロトコル
次の Exchange プロトコルとサービスは、アフィニティを設定しなくても機能します。ただし、アフィニティを設定しないでこれらのプロトコルとサービスを展開すると、パフォーマンスは大幅に低下します。
Outlook Anywhere OutlookAnywhere 接続は単一方向に動作し、1 つの RPC データ接続を 2 つの HTTP 接続に分割します。受信データ用と送信データ用にそれぞれ 1 つずつの接続があります。これら 2 つの接続間にアフィニティが設定されていないと、Outlook Anywhere はクライアント アクセス サーバー アレイの他のメンバーと調整して、これら 2 つの接続を関連付けようとします。これにより、2 つのサーバー アレイではクライアント アクセス サーバー間のトラフィックが約 50 % 増大し、多数のサーバーのアレイでは最大 100 % トラフィックが増大します。
Exchange ActiveSync Microsoft Exchange ActiveSync は、クライアントからサーバーへの存続時間の長い HTTPS 要求を介してクライアントに新着メール通知を転送します。Exchange ActiveSync クライアントが新しいクライアント アクセス サーバーに割り当てられる際、このクライアント アクセス サーバーはユーザーのメールボックスに対して通知サブスクリプションを再作成しなくてはなりません。これが、パフォーマンスの大幅な低下を招きます。
Exchange アドレス帳 サービス このサービスは、クライアントにディレクトリへのアクセスを提供する Exchange 2010 の新しいサービスです。アフィニティを使用しないと、クライアントとクライアント アクセス サーバー間の通信レベルが極端に高くなります。
リモート PowerShell アフィニティを設定しない場合、接続が中断すると、ユーザーは再認証が必要になります。
アフィニティを必要としない Exchange プロトコル
トランザクションであるためにアフィニティを必要としない Exchange プロトコルとサービスがいくつかあります。つまり、このようなプロトコルとサービスは、接続が確立され、トランザクションが完了したら接続が閉じられるという意味です。これらのプロトコルでは、アフィニティによるパフォーマンスの向上はありません。
オフライン アドレス帳
自動検出サービス
POP3
IMAP4
IP ポートについて
Exchange 2010 のサービスの大半は、HTTP の上に構築され、SSL (Secure Sockets Layer) アクセスにはポート 443、SSL 以外のアクセスにはポート 80 を使用します。Outlook Web App, Exchange ActiveSync, Outlook Anywhere、および Exchange Web サービスはこうしたサービスです。POP3 と IMAP4 は、SSL で暗号化されていない場合はそれぞれポート 110 と 143 を使用し、SSL で暗号化された場合はそれぞれポート 995 と 993 を使用します。
RPC クライアント アクセス サービスや Exchange アドレス帳サービスなどのその他の Exchange サービスは、RPC サービスになります。Outlook クライアントが Outlook Anywhere を使用せず、これらのプロトコルを使用して直接クライアント アクセス サーバーに接続する場合、これらのサービスのエンドポイント TCP ポートは、RPC エンドポイント マネージャーによって割り当てられます。割り当ては、サービスの開始時に発生します。これには、ポート番号に基づいてこれらのサービスのトラフィックを特別に指定するのではなく、負荷分散を行うために幅広い範囲の送信先ポートを構成する必要があります。負荷分散を簡略化するために、これらのサービスを特定のポート番号に静的にマッピングできます。これらのサービス用のポートを静的にマッピングすると、トラフィックはポート 135 と、これらのサービス用に選択された 2 つの特定のポートに制限されます。
RPC ベースのサービスの静的ポート マッピングの構成
RPC クライアント アクセス サービスの静的ポートは、レジストリ内で構成されます。各クライアント アクセス サーバーについて、次のレジストリ キーを構成する必要があります。RPC クライアント アクセス サービスへの TCP 接続に使用するポートの値をレジストリ キーに設定します。
Key: HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\MSExchangeRPC\ParametersSystem
Value: TCP/IP Port
Type: DWORD
注意
このような変更は、TCP 経由の内部接続にのみ影響し、RPC/HTTP トンネリングを使用する Outlook Anywhere 接続には影響しません。RPC クライアント アクセス サービスへの Outlook Anywhere 接続は、ポート 6001 で発生します。これは構成できません。
この処理は、組織内のどのパブリック フォルダー サーバーでも実行されます。
Exchange アドレス帳サービスによって管理される 2 つの RPC エンドポイントの静的ポートは、"Microsoft.Exchange.AddressBook.Service.Exe.config" という名前のファイルで構成されます。このファイルは、すべてのクライアント アクセス サーバー上の Exchange インストールパスの下にあるbin ディレクトリに保存されています。この構成ファイルの RpcTcpPort 値には、このサービスの TCP 接続に使用するポートの値を設定する必要があります。このポートは、アドレス帳参照 (ABREF) と NSPI (Name Service Provider Interface) の両方の接続を処理します。
注意
NspiHTTPPort と RfrHTTPPort 構成オプションの値を変更しないでください。既定では、Outlook はこれらのポートを使用するように構成されます。これらの値を変更すると、クライアントが Outlook Anywhere 接続を確立しようとしたときに望ましくない遅延が発生します。既定のポートは、NspiHTTPPort 用に 6002、RfrHTTPPort 用に 6004 です。
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