モバイル デバイスからアクセスできるよう SharePoint Server 2010 を構成する
以前のモバイル ブログの投稿では、Office 2010 でサポートされているモビリティのシナリオをいくつか簡単に紹介しました。これらのモビリティ機能は、SharePoint 2010 のモビリティのサポートを基盤にしています。今日の投稿では、モバイル アクセスを活用するための SharePoint サーバー環境のセットアップ方法について説明します。
Microsoft SharePoint 2010 には、多機能携帯電話による SharePoint 2010 上のドキュメント、リスト、カレンダーへのアクセス、人の検索とドキュメントの検索の実行、SharePoint コンテンツに関する SMS 通知の受信に関するサポートが組み込まれています。
Microsoft SharePoint Workspace Mobile 2010 では、Windows phone ユーザーは SharePoint 2010 上のオフラインのドキュメントにアクセスできます。
Microsoft SharePoint Server 2010 は、Web ブラウザーを搭載している携帯電話やその他のデバイスからの情報アクセスに対応しています。具体的には、次の機能があります。
- ドキュメント ライブラリ、リスト、Wiki、ブログ、Web パーツ ページ、LOB データにアクセスするための軽量のインターフェイスとナビゲーション
- Word、Excel、PowerPoint ドキュメントを表示するための Web コンパニオン
- 同僚と常時連絡を取り合うことができるモバイル個人用サイト
- 人、連絡先情報、SharePoint 連絡先の検索や、ユーザー定義データベース内のデータ検索ができるモバイル検索機能
- SharePoint コンテンツの変更に関する SMS 通知
- 各機能はカスタマイズできます。詳しい情報については SDK を参照してください。
SharePoint ホーム ページ の モバイル ビュー :
Microsoft SharePoint 2010 のサイトに携帯電話からアクセスすると、次の図のように自動的にモバイル ビューにリダイレクトされます。
すべてのサイト コンテンツを表示する
ホーム ページの上部にある "すべてのサイト コンテンツの表示" リンクをクリックまたは選択すると、次の種類のライブラリに切り替わります。
- 親サイト
- リスト一覧
- ドキュメント ライブラリ
- 画像ライブラリ
- サブ サイト
以降のセクションでは、展開についての注意事項を説明します。
デスクトップ上でモバイル アクセス時の表示をプレビューするには
モバイル アクセス時の表示をデスクトップの Web ブラウザーでプレビューすることができます。そのためには、ドキュメント、ホーム ページ、Web パーツ ページ、Wiki ページ、リスト ビュー ページ、リスト アイテム詳細/編集/新規フォーム ページ、検索センター ページの SharePoint URL の最後に "?mobile=1" を追加します。この方法はすべてのページ、リスト、ドキュメントに使用できるとは限りませんが、モバイル アクセス時の表示を確認するには役立ちます。
モバイル アクセスのための SharePoint 展開
このセクションでは、SharePoint 2010 をモバイル アクセス用に展開するために必要な構成と、モバイル ビューをサポートしているモバイル ブラウザーの一覧を紹介します。
- ファイアウォールの設定
- モバイル アクセス対応のコンテンツ
- 独自のモバイル ソリューションの展開
- ブラウザーの標準と要件
- モバイル ページへのアクセス
- セキュリティとプライバシー
ファイアウォールの検討事項
携帯電話は公共のインターネットに接続するため、SharePoint サーバーを会社のファイアウォールの外にアクセスできるようにする必要があります。IT 管理者は SharePoint を SSL VPN ゲートウェイ経由で公開することも、モバイル プロキシを使用することも、SharePoint サーバーをインターネットに直接公開することもできます。
SSL VPN アクセス
1 つの方法は、間もなくリリースされる Microsoft の Forefront Unified Access Gateway (UAG) サーバーのような SSL VPN ゲートウェイ サーバーを使用して、次の図のようにファイアウォールを超えて SharePoint サイトを公開することです。この SSL VPN サーバーは、アクセスに使用するモバイル デバイスをサポートしていなければなりません。現在はベータ版として公開されている Microsoft UAG サーバーは、モバイル ブラウザーからのアクセスをサポートしています。UAG サーバーの評価版に興味がある方は、「Welcome to Forefront UAG (英語)」で UAG の詳細をぜひご覧ください。
SharePoint サーバーをファイアウォールの外側に公開した場合は、"サーバーの管理" ページの "代替アクセス マッピング" 設定を構成する必要があります。また、公開するサイトを、クロス ファイアウォール アクセスを許可しているゾーンに所属させる必要があります。これらの設定は "サーバーの管理" ページにあります。"システム設定" の "システム設定" で "クロスファイアウォール アクセス ゾーンの構成" を選択してください。
SharePoint Workspace のモバイル クライアントを SharePoint サーバー上のオフラインのドキュメントにアクセスできるように構成するには、設定ページで UAG サーバーのアドレスを指定する必要があります。
モバイル プロキシ サーバー
Microsoft の Mobile Device Manager や Blackberry Enterprise Server のようなモバイル プロキシ サーバーでも、ファイアウォールを超えた SharePoint へのアクセスを実現することができます。これらのサーバーは、適切な動作をさせるために、モバイル ブラウザーの HTTP ヘッダーを SharePoint に直接引き渡す必要があります。
SharePoint Workspace のモバイル クライアントは Microsoft の Mobile Device Manager と組み合わせて使用できます。
直接のインターネット アクセス
SharePoint をエクストラネットに配置して、デバイス アクセスを有効にすることもできます。ただし、サポートされるのは基本認証のみになるので、インターネットに直接つながるサーバーの場合は、SSL などの保護技術や保護ポリシーと組み合わせて使用することをお勧めします。
会社のファイアウォール内で使用する携帯電話については、特別な構成要件はありません。
モバイル アクセス対応のコンテンツ
モバイル対応として公開したコンテンツの大部分はそのままでアクセスできますが、一部にはサポートされない種類のデータや、追加の構成手順が必要になる種類のデータもあります。
Web パーツ ページ、ドキュメント ライブラリ/画像ライブラリ、リスト (カレンダー、連絡先、タスクなど)、ブログ、Wiki、Office ドキュメント、検索、個人用サイトは、そのまま使用できます。"リスト ビュー" および "画像" Web パーツは、そのままでモバイル対応になっています。なお、個人用サイトと検索の機能は MOSS サーバーでのみ使用できます。
その他の Web パーツについては、モバイル機能を有効化する "モバイル Web パーツ アダプター" が必要です。モバイル アダプターの詳細については、次の「独自のモバイル ソリューションの開発」のセクションを参照してください。"Layouts" フォルダー以下のページはモバイル ページとして使用できません。
独自のモバイル ソリューションの開発
SharePoint には、独自ソリューションの開発のためのモバイル Web パーツ フレームワークが用意されています。Web パーツにモバイル Web パーツ アダプターのレンダー クラスを追加すると、既存の Web パーツをモバイル ページの一部として動作させることができます。基本的な機能については、基本アダプター クラスがいくつか用意されています。SharePoint 2007 Mobile SDK は、この開発オプションを理解するための良い出発点になります。SharePoint 2010 では、基本のレイアウト ページを修正することで SharePoint モバイル ページをカスタマイズできます。また、モバイル ページを代替モバイル ページにリダイレクトするよう構成することもできます。
ブラウザーの標準と要件
SharePoint 2010 は次に示す幅広い種類のモバイル ブラウザーをサポートしています。モバイル デバイス上で特別な設定をする必要はありません。
- Windows Mobile 5/6/6.1/6.5 上の Internet Explorer Mobile
- iPhone 3G/S 上の Safari4
- BlackBerry 4.x 以降
- Nokia S60
- NetFront 3.4、3.5 以降
- Opera Mobile 8.65 以降
- Openwave 6.2、7.0 以降
SharePoint Workspace のモバイル クライアントは Windows phone でのみ使用できます。
モバイル ページへのアクセス
モバイル ページにアクセスするための URL は、デスクトップ ブラウザー用のページの URL と同じです。ただし、Web プロキシの構成や有無によっては、異なる URL が使われる場合もあります。プロキシ対応の URL がわからない場合は、Web パーツ ページ、Wiki ページ、またはリスト ビュー ページの SharePoint リボンの [ページ] タブにある [リンクを電子メールで送信] ボタンを選択すると、適切なアドレスが記された電子メールを受信できます。この URL にユーザーがモバイル ブラウザーからアクセスすると、SharePoint 2010 によって自動的にモバイル ページにリダイレクトされます。
モバイル ブラウザーかどうかは USERAGENT によって認識され、モバイル ブラウザーからのアクセスをモバイル ビューにリダイレクトする処理は、サーバーの IIS ディレクトリにある、デバイス プロファイルを管理する "compat.browser" というファイルによって管理されます (Web アプリケーションのポートが 80 の場合、ファイル パスは "\inetpub\wwwroot\wss\VirtualDirectories\80\App_Browsers\compat.browser" となります)。テキスト エディターでこのファイルを修正すれば、リダイレクト動作を変更できます。特定のモバイル ブラウザーの IsMobileDevice 属性を FALSE に設定すると、SharePoint はそのブラウザーに関してはモバイル ビューを表示しなくなります。
ブラウザー プロファイルの定義については次の MSDN ドキュメントを参照してください。
https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms228122.aspx
セキュリティとプライバシー
ファイアウォールの内側では、SharePoint Workspace のモバイル クライアントは NTLM または Kerberos 認証スキームを使用します。ファイアウォールの外側では、UAG 上で公開されている SharePoint サーバーとの通信を行うために、SSL を使った基本認証スキームが使用されます。
モバイル デバイスと SharePoint サーバーとの通信の安全性を確保するために、モバイル ブラウザーからのアクセスには SSL 通信を使用することをお勧めします。
2 要素認証が必要なときは、SSL VPN またはプロキシ サーバーとモバイル デバイスで認証を行う必要があります。
最後に、管理者はモバイル ブラウザーがデバイス上に情報をキャッシュする可能性があることを意識しなければなりません。デバイスを紛失した場合のプライバシーやその他の問題のリスクを最小限に抑えるために、デバイスのロックや携帯電話からアクセスできる情報の種類に関するポリシーを定めておくことをお勧めします。
この情報が皆様のお役に立てば幸いです。質問があればコメントを書き込んでください。
投稿日: 2010 年 3 月 9 日 (火曜日) 午後 4:44 投稿者: OffTeam
キーワード: モバイル (英語)
これはローカライズされたブログ投稿です。原文の記事は、https://blogs.technet.com/office2010/archive/2010/03/09/configure-sharepoint-server-2010-for-mobile-device-access.aspx を参照してください。