基本的なクエリ操作 (Visual Basic)

[アーティクル]
04/07/2023

このトピックでは、Visual Basic における統合言語クエリ (LINQ) 式と、クエリで実行されるいくつかの一般的な操作について簡単に紹介します。詳細については、次のトピックを参照してください。

データソースを指定する (From)

LINQ クエリで最初に行う手順は、照会するデータソースの指定です。そのためクエリでは、From 句が必ず先頭に来ます。クエリ演算子は、ソースの種類に基づいて結果を選択し、整形します。

Dim query = From cust In customers
'           ...

From 句は、データソース (customers) と "範囲変数" (cust) を指定するものです。範囲変数はループの反復変数に似ていますが、クエリ式では実際の反復処理が実行されない点は除きます。クエリは多くの場合、For Each ループを使用して実行され、範囲変数は、クエリが実行されたとき、customers に含まれる連続する各要素への参照として機能します。 cust の型はコンパイラで推論できるため、明示的に指定する必要はありません。明示的な型指定を使用して記述されたクエリと使用せずに記述されたクエリの例については、「クエリ操作での型の関係 (Visual Basic)」を参照してください。

Visual Basic での From 句の使い方について詳しくは、「From 句」を参照してください。

データをフィルター処理する (Where)

最も一般的なクエリ操作は、ブール式の形式でフィルターを適用することです。その場合、クエリからは、式が true となる要素のみが返されます。フィルター処理は、Where 句を使用して実行されます。データソース内のどの要素を結果のシーケンスに含めるかをフィルターで指定します。次の例では、住所がロンドンにある顧客だけが結果に含まれます。

Dim londonCusts = From cust In customers
                  Where cust.City = "London"
'                 ...

Where 句では、And や Or といった論理演算子を使用して、複数のフィルター式を結合することができます。たとえばロンドン在住で、なおかつ名前が Devon である顧客のみを取得するには、次のコードを使用します。

Where cust.City = "London" And cust.Name = "Devon"

ロンドンまたはパリ在住の顧客を取得するには、次のコードを使用します。

Where cust.City = "London" Or cust.City = "Paris"

Visual Basic での Where 句の使い方について詳しくは、「Where 句」を参照してください。

データを並べ替える (Order By)

返されたデータを特定の順序で並べ替えると都合がよい場合は少なくありません。 Order By 句を使用すると、返されたシーケンス内の要素が、指定された 1 つまたは複数のフィールドを基準に並べ替えられます。たとえば、次のクエリは Name プロパティに基づいて結果を並べ替えます。 Name は文字列であるため、返されるデータはアルファベット順 (A から Z) に並べ替えられます。

Dim londonCusts1 = From cust In customers
                   Where cust.City = "London"
                   Order By cust.Name Ascending
'                   ...

結果を逆の順序 (Z から A) で並び替えるには、Order By...Descending 句を使用します。 Ascending も Descending も指定されなかった場合は、既定で Ascending が使用されます。

Visual Basic での Order By 句の使い方について詳しくは、「Order By 句」を参照してください。

データを選択する (Select)

Select 句は、返された要素の形式と内容を指定します。たとえば、Customer オブジェクト全体、1 つの Customer プロパティのみ、プロパティのサブセット、各種データソースのプロパティの組み合わせ、計算に基づくなんらかの新しい結果型のいずれで結果が構成されるかを指定できます。 Select 句でソース要素のコピー以外のものを生成する場合、その操作はSelectと呼ばれます。

Customer オブジェクト全体から成るコレクションを取得するには、範囲変数自体を選択します。

Dim londonCusts2 = From cust In customers
                   Where cust.City = "London"
                   Order By cust.Name Ascending
                   Select cust

Customer インスタンスがフィールドを多数含んだ大きなオブジェクトで、取得したいのはその名前だけである場合は、次の例のように cust.Name を選択できます。それに伴い、結果の型が Customer オブジェクトのコレクションから文字列のコレクションに変化したことは、ローカル型推論によって認識されます。

Dim londonCusts3 = From cust In customers
                   Where cust.City = "London"
                   Order By cust.Name Ascending
                   Select cust.Name

データソースから複数のフィールドを選択したい場合、次の 2 つの選択肢があります。

Select 句で、結果に含めたいフィールドを指定します。それらのフィールドをプロパティとして持つ匿名型がコンパイラによって定義されます。詳細については、「匿名型」を参照してください。

以下の例で返される要素は匿名型のインスタンスであるため、コード内の他の場所では、型を名前で参照することができません。コンパイラによって指定された型名には、通常の Visual Basic コードでは無効な文字が含まれます。次の例で、londonCusts4 としてクエリから返されるコレクション内の要素は匿名型のインスタンスです。
```
Dim londonCusts4 = From cust In customers
                   Where cust.City = "London"
                   Order By cust.Name Ascending
                   Select Name = cust.Name, Phone = cust.Phone

For Each londonCust In londonCusts4
    Console.WriteLine(londonCust.Name & " " & londonCust.Phone)
Next
```
\- または -
結果に含めたい特定のフィールドを含む名前付きの型を定義し、その型のインスタンスを Select 句で作成して初期化します。この方法を使用するのは、結果が返されるコレクションの外で個々の結果を使用しなければならない場合や、それらをパラメーターとしてメソッド呼び出しに渡す必要がある場合のみです。次の例では、londonCusts5 の型が IEnumerable(Of NamePhone) になります。
```
Public Class NamePhone
    Public Name As String
    Public Phone As String
    ' Additional class elements
End Class
```
```
Dim londonCusts5 = From cust In customers
                   Where cust.City = "London"
                   Order By cust.Name Ascending
                   Select New NamePhone With {.Name = cust.Name,
                                              .Phone = cust.Phone}
```

Visual Basic での Select 句の使い方について詳しくは、「Select 句」を参照してください。

データを結合する (Join と Group Join)

From 句では、いくつかの方法で複数のデータソースを結合することができます。たとえば次のコードでは、2 つのデータソースを使用し、その両方のプロパティを結果の中で暗黙的に結合しています。このクエリでは、姓が母音で始まる学生が選択されます。

Dim vowels() As String = {"A", "E", "I", "O", "U"}
Dim vowelNames = From student In students, vowel In vowels
                 Where student.Last.IndexOf(vowel) = 0
                 Select Name = student.First & " " &
                 student.Last, Initial = vowel
                 Order By Initial

For Each vName In vowelNames
    Console.WriteLine(vName.Initial & ":  " & vName.Name)
Next

注意

このコードは、「方法: 項目のリストを作成する」で作成した学生のリストを使用して実行できます。

Join キーワードは、SQL の INNER JOIN に相当します。 2 つのコレクションの要素間の一致するキーの値に基づいて 2 つのコレクションを結合します。このクエリは、一致するキー値を持つコレクション要素の全部または一部を返します。たとえば、前の暗黙的結合のアクションを再現するコードを次に示します。

Dim vowelNames2 = From student In students
                  Join vowel In vowels
                  On student.Last(0) Equals vowel
                  Select Name = student.First & " " &
                  student.Last, Initial = vowel
                  Order By Initial

SQL の LEFT JOIN のように、複数のコレクションを結合して 1 つの階層コレクションにするには、Group Join を使用します。詳細については、「Join 句」および「Group Join 句」を参照してください。

データをグループ化する (Group By)

Group By 句を追加すれば、クエリの結果に含まれる要素を、その要素の 1 つ以上のフィールドに従ってグループ化することができます。たとえば、次のコードは、学生を学年ごとにグループ化するものです。

Dim studentsByYear = From student In students
                     Select student
                     Group By year = student.Year
                     Into Classes = Group

For Each yearGroup In studentsByYear
    Console.WriteLine(vbCrLf & "Year: " & yearGroup.year)
    For Each student In yearGroup.Classes
        Console.WriteLine("   " & student.Last & ", " & student.First)
    Next
Next

「方法: 項目のリストを作成する」で作成した学生のリストを使用してこのコードを実行した場合、For Each ステートメントから次の出力が返されます。

年:Junior

Tucker, Michael

Garcia, Hugo

Garcia, Debra

Tucker, Lance

年:Senior

Omelchenko, Svetlana

Osada, Michiko

Fakhouri, Fadi

Feng, Hanying

Adams, Terry

年:Freshman

Mortensen, Sven

Garcia, Cesar

次のコードでは、先ほどの例を応用し、学生をまず学年で並べ替えた後、各学年の学生を姓で並べ替えています。

Dim studentsByYear2 = From student In students
                      Select student
                      Order By student.Year, student.Last
                      Group By year = student.Year
                      Into Classes = Group

Group By の詳細については、「Group By 句」を参照してください。

次の方法で共有

基本的なクエリ操作 (Visual Basic)

データソースを指定する (From)

データをフィルター処理する (Where)

データを並べ替える (Order By)

データを選択する (Select)

データを結合する (Join と Group Join)

データをグループ化する (Group By)

関連項目

その他のリソース

次の方法で共有

基本的なクエリ操作 (Visual Basic)

データ ソースを指定する (From)

データをフィルター処理する (Where)

データを並べ替える (Order By)

データを選択する (Select)

データを結合する (Join と Group Join)

データをグループ化する (Group By)

関連項目

その他のリソース

データソースを指定する (From)