アプリケーション レベルのトレースの有効化
アプリケーションのルート ディレクトリにある Web.config ファイルを使用すると、アプリケーション全体のトレースを有効にできます。既定では、アプリケーション レベルのトレースは、ローカル Web サーバー コンピュータでだけ表示できます。アプリケーション レベルのトレース情報をリモート コンピュータで表示できるようにするには、Web.config ファイルで localOnly 属性を false に設定する必要があります。
注意 Web アプリケーションのセキュリティを確保できるようにするには、アプリケーションの開発時および配置時にだけ、リモート トレース機能を使用してください。必ずこの機能を無効にしてから、アプリケーションを実行用の Web サーバーに転送します。リモート トレースを無効にするには、Web.config ファイルで localOnly 属性を true に設定します。
最大 40 までの要求についてトレース情報を収集し、元のサーバー以外のコンピュータのブラウザでトレース ビューアを表示できるようにする、アプリケーション トレース構成の例を次に示します。
<configuration>
<system.web>
<trace enabled="true" requestLimit="40" localOnly="false"/>
</system.web>
</configuration>
アプリケーションのトレースを有効にした場合、ASP.NET は、指定した要求の最大数に達するまで、そのアプリケーションへの各要求に関するトレース情報を収集します。既定の要求数は 10 です。トレース ビューアがこの制限に達すると、アプリケーションはトレース要求の格納を中止します。
メモ Web.config ファイルでアプリケーション全体のトレースを有効にすると、そのアプリケーションの各ページで、トレース情報の収集と処理が行われます。アプリケーションの特定のページのトレースを無効にするには、そのページで @ Page ディレクティブの Trace 属性を false に設定します。ページのコードに含まれる TraceContext.Write ステートメントや TraceContext.Warn ステートメントは、格納されてトレース ビューアだけに返されます。
トレース情報が関連付けられているページの終わりにトレース情報を表示するには、Web.config ファイルのトレース構成セクションの pageOutput 属性を true に設定します。トレース情報をトレース ビューアだけに表示するには、この属性を false に設定します。アプリケーション レベルのトレースを有効にしながら、そのアプリケーションの一部のページでトレース情報を表示しないようにするには、@ Page ディレクティブを使用して、トレース情報を表示しないページの Trace 属性を false に設定します。
ASP.NET アプリケーションの構成方法の詳細については、「ASP.NET の構成」を参照してください。
アプリケーション レベルのトレースの動作を変更するために使用できる属性を、次の表に示します。
属性 | 説明 |
---|---|
enabled | アプリケーションのトレースを有効にする場合は true、それ以外の場合は false を指定します。既定値は false です。 |
pageOutput | アプリケーションのページと .axd トレース ユーティリティの両方にトレース情報を表示する場合は true、それ以外の場合は false を指定します。既定値は false です。
メモ トレースが有効になっているページは、この設定の影響を受けません。 |
requestLimit | サーバーに格納されるトレース要求の数を指定します。既定値は 10 です。 |
traceMode | トレース情報を処理順に表示するか (SortByTime)、またはユーザー定義のカテゴリ別にアルファベット順で表示するか (SortByCategory) を指定します。既定値は SortByTime です。 |
localOnly | トレース ビューア (Trace.axd) を使用できるのがホスト Web サーバーだけの場合は true、それ以外の場合は false を指定します。既定値は true です。 |
アプリケーションのトレースを有効にするには
Web.config ファイルがまだ作成されていない場合は、テキスト ファイルを作成して Web.config という名前を付け、アプリケーションのルート ディレクトリに保存します。
<
configuration>
要素の開始タグと終了タグの間に、<
system.web>
要素の開始タグと終了タグを追加します。<
system.web>
要素タグの間に<
trace>
要素を追加します。この要素は自己完結型です。<
trace>
要素で enabled 属性を宣言し、この属性を true に設定します。必要に応じ、ほかの省略可能な属性を宣言して、アプリケーションのトレースの動作を変更します。
最大 40 までの要求についてトレース情報を収集し、元のサーバー以外のコンピュータのブラウザでトレース ビューアを表示できるようにする、アプリケーション トレース構成の例を次に示します。
<configuration> <system.web> <trace enabled="true" requestLimit="40" localOnly="false"/> </system.web> </configuration>
メモ ASP.NET 構成システムでは大文字小文字が区別されます。1 つの単語から成るセクションはすべて小文字ですが、2 つ以上の単語から成るセクションや属性は Camel 形式で記述する必要があります。たとえば、
requestLimit
は有効な属性名ですが、requestlimit
ではパーサー エラーが発生します。
トレース ビューアによるトレース情報の表示
アプリケーションのトレースを有効にすると、そのアプリケーションの各ページが要求されたとき、ページに含まれているすべてのトレース ステートメントが実行されます。トレース ビューアでトレース ステートメントや追加のトレース情報を表示するには、アプリケーション ディレクトリのルートから Trace.axd を要求します。
メモ アプリケーションのトレースを有効にしたときは、Web.config ファイルの pageOutput 属性を true に設定することにより、そのアプリケーションのすべてのページのトレース ステートメントと追加情報を表示できます。
トレース ビューアでは、アプリケーションが要求したページからの特定の要求を選択できます。トレースが有効になった時点から 7 つの要求を受け取ったトレース ビューアの例を、次のスクリーン ショットに示します。
トレース ビューア
トレースを有効にしたアプリケーションに複数の要求が着信すると、トレース ビューアには、これらの要求が処理された順序で表示されます。トレース ビューアで開いているページには、要求の時刻、要求されたファイル、要求のステータス コード、要求に関連付けられている HTTP 動詞、および要求の詳細情報を表示できる [詳細の表示] リンクが表示されます。表示される要求の数は、Web.config ファイルで指定した requestLimit の値以下になります。
特定の要求におけるトレースの詳細を表示するには
アプリケーションに関連付けられているトレース ビューアへ移動します。
たとえば、アプリケーションの URL が https://localhost/myapplication の場合、このアプリケーションのトレース統計を表示するには、https://localhost/myapplication/trace.axd へ移動します。
調査する要求の [詳細の表示] リンクを選択します。
[詳細の表示] を選択すると、トレースが有効なページに追加される情報と同じものが表示されます。
場合によっては、トレース ビューアに格納されている要求をすべて削除しなければならないことがあります。たとえば、アプリケーション内のファイルの変更を追跡する場合や、現在表示中の要求には関連付けられていないファイルの情報を表示する場合です。
トレース ビューアから要求を消去するには
アプリケーションに関連付けられているトレース ビューアへ移動します。
[現在のトレースの消去] リンクをクリックして、トレース ビューア アプリケーションに格納されているすべての要求を削除します。
メモ トレース ビューアが追跡するのは、ログの消去後に発行された要求だけです。要求の制限数に達してからログを消去するまでの間に発行された要求は表示できません。
参照
TraceModeEnum 列挙 | ASP.NET トレース | ASP.NET 設定スキーマ | ページのトレースの有効化